不動産調査の流れや概要を解説します!

役所調査や現地調査などのいわゆる不動産調査とは?

不動産調査ってそもそも何?どのようなことを調査するの?といった疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

不動産の売買や建物を建てる際に行われる不動産調査は、対象の不動産の情報を整理するために非常に重要な工程の一つです。

建物を建てるために土地を購入したが、その土地は計画通りの建物が建つ土地でしょうか。購入後に思っていた土地と違っていた場合、大きなトラブルに発展してしまいます。

そのような事態にならないためにも、不動産調査は漏れなく正確に行う必要があります。

今回は、不動産調査の流れや概要について解説していきます。

不動産調査とは:対象となる不動産を評価するため情報を整理すること

そもそも不動産調査はなぜ必要なのでしょうか。

不動産の売買などの取引は、日用品の売買とは違い、数百万~数千万、場合によっては億単位の金額が動く取引になります。

正しく不動産の評価をすることで、適切な取引価格を定める必要があります。また、対象の不動産について細かく情報を調査し、売買などの取引に際し行われる重要事項説明を正しく行うことで、買主を保護する目的もあるのです。

このように不動産調査は、不動産売買などの土台となる非常に重要な業務であると言えます。

不動産の価格はどのようにして決まるのか

不動産の価格(不動産の価値)はどのように決まるのでしょうか。

イメージとしては、その不動産の使い勝手の良さで価格が決まります。皆さんがイメージする「使い勝手の良さ」は、駅から近いかどうかや商業施設が近くにあるかどうかなどではないでしょうか。

実は、不動産の「使い勝手の良さ」はその他にも多くの要素が関わってきます。

例えば、同じ500㎡の土地の場合、きれいな四角形の土地といびつな形をした土地の場合どちらが好まれるでしょうか。建物を建設しようとした際、使い勝手が良いのは当然きれいな四角形の土地です。

そのほかには、少し難しい話にはなりますが、とても重要な項目として都市計画法や建築基準法などによる「建築制限」があります。

重要事項説明について

不動産売買などを行う場合、「この不動産はこのようなもので、このような制限がある場所です。これらを把握したうえで契約してくださいね!」といった重要事項説明を必ず行うこととされています。

その重要事項説明は、不動産調査の結果をもとに情報を整理し行います。

したがって、正しく重要事項説明を行うためにも、正しい不動産調査をすることが求められます。

説明

不動産調査の大まかな流れ

不動産調査はいくつかのステップに分かれています。

大まかな流れは以下のとおりです。

1.法務局調査

2.現地調査

3.役所調査

4.インフラ調査

5.市場調査

それぞれの調査内容やポイントについてご説明します。

法務局調査について

法務局調査では、対象の不動産に関する登記事項を確認するための書類を集めます。

具体的には、不動産登記事項証明書や、公図、地積測量図などです。

これらの資料を集めることで、このようなことがわかります。

  • 対象の不動産の所有者は誰か(売主と同一人物か)
  • 抵当権が設定されていないか
  • 差押えされた土地ではないか
  • 接道要件を満たすことはできるか(道路と接しているまたは道路に至るまでに他人の土地がない)
  • 建物を建築できない地目(田畑など)ではないか

これらの確認は、不動産取引において基本中の基本になります。

また、公的な書類として一部利用に制限はありますが、単に内容を確認するために登記簿が必要な場合は、法務局に行かなくても登記情報提供サービスを利用すればインターネット上で資料を取得することができます。

登記情報提供サービスのリンクはこちら

法務局に行く手間が省けるだけでなく、少しだけ取得に要する費用も安くなります。

現地調査について

現地調査では、インターネットなどでは調べることのできない現地の状況を確認します。

百聞は一見に如かずですね。現地で得られる情報は、不動産取引においてとても重要になるので、なるべく詳細に調査したいところです。

具体的には、隣接道路の状況や、騒音、異臭、建物等の劣化具合、近隣住民の生活環境(ゴミ出しの日以外にゴミが出されているなど)、境界杭があるか、隣地からの越境物はないか、周辺の交通量、公図と大幅な乖離があるかなどです。

また、デベロッパーの場合、道路地下埋設物の確認や、電気をどこから引き込むかなど、建築計画をするうえで必要な情報も併せて確認するとよいでしょう。

ここから現地調査について解説したコラムへ移動できます。

役所調査について

役所調査では、冒頭にも記載したとおり主に法令による「建築制限」があるかの確認を行います。

都市計画法や建築基準法、その他の法令による制限について確認を行います。

主な法令として例に挙げた都市計画法と建築基準法に関する「建築制限」については、「建築課」「都市計画課」「建設課」「建築開発課」のような名前の部署で確認ができます。

その他に重要な項目として、道路があげられます。「土木課」「維持管理課」などといった部署で確認ができることが多いです。

なお、都道府県道と国道については市町村役場では詳細の情報を聞くことができませんので、管轄の官公署で確認する必要があります。

また、法令による制限の確認事項は、非常に多くあります。

その他法令の調査は法令ごとに管轄する部署が違うため、農地部局、河川部局、災害対策部局、環境部局に教育部局など、関連する部署全てに持ち回りで情報を聞き取りに行く必要があるため、なかなか大変な調査になります。

ここから都市計画法について解説したコラムへ移動できます。

ここから建築基準法について解説したコラムへ移動できます。

ここからその他法令について解説したコラムへ移動できます。

インフラ調査について

インフラ調査では、生活に直結する水道、下水、ガス、電気などについて確認をします。

上水道

引き込む給水管の口径(水道管の大きさ)により口径分担金(負担金)を支払う必要があります。

各自治体の条例で口径ごとの分担金(負担金)が定められており、数万円~数百万円となかなか高額であるため、初期費用の目安を把握するうえでも確認しておきたい項目です。

下水道

下水道が利用できる区域かどうかの確認を行います。もし、下水道が使えない区域であった場合、浄化槽により下水を処理したのち雨水排水と同様に水路などへ流す必要があります。

浄化槽とは、微生物の力を使い汚水を浄化するものです。浄化槽が適切に維持管理されていない場合、処理できないまま水路などへ汚水が放流されてしまうため、悪臭などの公害へとつながります。

そのため、清掃や定期点検、法定点検などが義務付けられています。

ガス

「都市ガス」か「プロパンガス」かなど、ガスの種類を確認します。

電気

ブレーカーを確認し、電気の容量(アンペア)を確認します。また、電気をこれから引き込む場合、引き込めそうな電柱があるか、電力会社側の施設工事が必要かどうかを確認します。電力会社側の工事が必要な場合、費用負担や工事期間についても確認しましょう。

市場調査について

市場調査では、対象の不動産の売買金額を設定するために、周辺地域の不動産価格を調べます。

宅建協会のHPでも不動産のデータを公開しております。

不動産取引に関連する様々なデータを閲覧できますし、周辺地域の取引価格などもここで把握することができます。

宅建協会のHPはこちら

まとめ

まとめると以下のようになります。

  • 不動産調査は、不動産取引をするうえで土台となるためとても重要なもの
  • 法務局調査で不動産の所有者や権利関係などの基礎情報を取得する
  • 現地調査で周辺環境を確認する
  • 役所調査で法令上の制限を確認する
  • 市場調査で適切な価格を確認する

さいごに

いかがでしたでしょうか。

この記事が一人でも多くの方のお役に立てると嬉しいです。

大事なことなので改めて書きますが、不動産調査は不動産取引をするうえで非常に重要なものです。

業務として不動産調査を行うのではなく、買主になったつもりで入念に調査を行いましょう。

当事務所では、不動産調査業務の代行を行っております。(不動産調査業務のページはこちら)

ご不明な点がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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